Web3での稼ぎ方を探している読者のみなさん。今回は仮想通貨について紹介します。
これからのインターネットは、Web3.0(読み方:ウェブスリーあるいはウェブさん。単にWeb3とも表記される)の時代だといわれています。
Web3.0について2021年後半から急激に人々の関心が高まっていることは、Googleトレンドの「Web3」で検索するユーザー数の推移からも明らかです。
大手仮想通貨取引所であるBinance(バイナンス)が「Web3」とツイートしたことも話題になりました。
Web1.0ネイティブ世代かつWeb2.0を利用する企業の目線で、Web3.0の定義などやできることを解説しました。
Web3.0とは
Web3.0とは、分散型サービスによるインターネット民主化の時代と、それに付属するサービスだといわれています。
突然「Web3.0は分散型の時代」といわれても、難しいかもしれません。
Web3.0を理解するために、Web1.0・Web2.0の概念を説明します。
Web1.0とは
Web1.0とは、一方的にWebサイトを閲覧できる時代あるいはその状態でした。WWW(World Wide Web)が考案された1990年から2004年まで、Web1.0は続きます。
- htmlを利用したテキスト中心の静的サイトが多かった
- 画像・動画コンテンツはほぼなし
- 情報発信ができるのは、基本的にはサイト開発できる人のみだった
- インタラクティブ(双方向)なやり取りはほぼ存在しない
- 人間のみがコンテンツの意味を理解できていた
主に、個人が趣味で作成したホームぺージが中心でしたが、Yahoo!やGoogleといったサービスはWeb1.0の時代に登場します。
当時はダイヤルアップ回線(アナログの電話)でインターネット接続していたため、現在の光回線やWi-Fiと比較するとデータのアップロードやダウンロードが大変でした。従量課金制だったので、インターネットを長時間利用してしまうと高額な料金が請求された時代でもあります。
Web2.0とは?
Web2.0では、ユーザー同士がやりとりをできるようになりました。
誰でも気軽にコンテンツを発信できるため、日本では「一億総クリエイター時代」とも呼ばれていて、SNSを中心とした現在のインターネットです。
- ソーシャルネットワークを通したインタラクティブな世界
- ユーザー同士で自由に情報交換できる
- 専門知識がなくても気軽に情報発信できる
Web2.0の代表的なサービスとして、YouTubeやFacebookやInstagram、Twitterなどがあげられます。とても便利ですが中央集権的なサービスなので、特定の企業へ情報が集中したりセキュリティの脆弱さに関連したリスクなど、たくさんの問題点があることも事実です。
過去にはFacebookやGoogleから個人情報が流出してしまい、大きなニュースになりました。
さらに、自分の行動履歴に合わせて表示される広告が変化するため、個人のプライバシー保護に関する問題はWeb2.0に対して指摘されています。
Web3.0とは
Web3.0は、ブロックチェーン技術を活かして、Web2.0の課題だった特定企業へのデータが集まることを解決するために誕生しました。データを特定企業から分散させて、インターネットの民主化を目指します。
Web3.0の思想は2014年にイーサリアムの共同創業者ギャビン・ウッドに提唱され、ブロックチェーン技術を活かし、特定の企業に集中することがないインターネットサービスを実現します。
Web3.0領域では、DeFi(分散型金融)やメタバース、NFT(非代替性トークン)、ソーシャルトークン(SocialToken)という4つのトレンドがありますが、一つずつ簡単に紹介します。
DeFi
DeFiは、ブロックチェーンのスマートコントラクト(契約の自動化)により、金融機能を自動化するシステムで、送金や決済に限らず、仮想通貨ウォレットがハッキングされたときの保険(例:Etherisc)やレンディングサービスが登場しました。
メタバース
メタバースは、コンピューター上の仮想空間のことで、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用するサービスで、FacebookやMicrosoft、パナソニックなどの大手企業が導入しています。
メタバースの基礎知識は詳しいサイトがあるので、基本的な意味や概念は覚えておきましょう。
NFT
NFTとは、デジタルデータの所有権を公的に証明できるトークンで、最近ではNFTを利用したデジタルアートが生まれ、知的財産(IP)ホルダーがキャラクタービジネスを活かしたNFTに参入したりと、たくさんの事例が登場しています。
ソーシャルトークン(SocialToken)
ソーシャルトークンとはDAO(デジタルの自律分散型)において、コミュニティ内で積極的に活動するユーザーにデジタル通貨で報酬を与える方法で、ソーシャルトークンは仮想通貨で支払われます。
Web3.0のメリット・できること
Web3.0はブロックチェーンによる分散の仕組みを活用することで、Web2.0で不可能だったことが可能になりました。
2022年3月時点でWeb3.0のできることやメリットを紹介します。
人種や国境を越えてサービスを利用可能
Web3.0のサービスであるDApps(分散型アプリケーション)は、人種や国境を越えて誰でも利用可能です。
中国では「グレートファイヤーウォール(金盾)という大規模なネット検閲システムがあるため、GoogleやFacebook、Twitterなどのサービスにアクセスできません。
分散型ストレージや身分証明、ブロックチェーンゲームなど、DAppsを活用したアプリケーションは世界のどこからでも誰でもアクセスできます。仮想通貨に関する規制を進めている中国でも、技術上はWeb3.0のサービスが利用できます。
また、iOSでは利用可能ですが、Androidでは利用不可など、デバイス・OSによる制限はありません。デバイスやOSの壁がないこともWeb3.0のメリットです。
ユーザー自身でデータを管理できる
Web3.0の時代はユーザー自身でデータを所持することが前提です。
Web2.0では、ユーザーが便利なインターネットサービスを無料で利用できることが当然でしたが、無料で利用可能な代わりに個人情報や行動履歴の提供させられていることが問題視されています。Web3.0は自身でデータを管理できることがメリットです。
個人の行動履歴を追跡される例として、リマーケティング広告があります。例えば、とあるWebサイトをみるとFacebookやInstagramを閲覧した時、先程みていたWebサイトの広告が出てきた経験があると思います。
広告が配信されることで思い出せることをメリットと感じるユーザーもいる一方で、監視されている気持ち悪さを感じる方が多いようです。Web3.0ではデータを自身で管理できるため、広告を配信させないといったこともできます。
例として、ジャスミー株式会社は、ユーザー自身でデータを管理・制御し、企業へ情報を提供することを許可するシステムを開発しています。情報提供することで報酬を得られることがメリットです。
P2P取引による仲介組織の排除
P2P(ピア・ツー・ピア)によるネットワーク接続は、仲介するクライアントサーバーが不要のため、企業とエンドユーザーが直接取引できます。
ブロックチェーンの仕組みによるP2Pが実現できると、特定の企業によるデータ管理が不要です。
例として、今までGoogle Driveのストレージでデータ管理していた場合、Googleのサーバーがハッキングされたら情報が流出してしまいます。さらにGoogleの配下にデータがあるため、サービス変更時や廃止時にリスクが発生するのです。
しかし、分散型ストレージのIPFSなら心配ありません。特定の企業に集中せずにデータを管理でき、安全かつ自由にデータの保管が可能です。
金融業界では銀行の存在をなくしたり、広告・マーケティングの領域ではアドネットワーク企業の必要性がなくなったりと、Web3.0は従来の常識が大きく変わっているかもしれません。
分散型ネットワークによる堅牢なセキュリティ構築
ブロックチェーン技術による分散型ネットワークは、取引履歴などの情報を暗号化し、いくつかのユーザーの承認を経て取引を認めるシステムです。
ハッカーの立場から見ると、ブロックチェーン技術を活かしたサービスへのハッキングは非常に困難です。それと同時にいくつかの端末を攻撃しなければハッキングができないためです。
Web2.0の問題点は、特定のサーバーのハッキングに成功したら、自由に情報を盗んだりデータの書き換えができることでしたが、分散型ネットワークの場合は、こういった心配はなくなります。
Web3.0の代表的なサービス事例
Web3.0のサービス事例を紹介します。Web2.0のサービスと比べるので、何が変化するのかイメージしていただければ幸いです。
Brave(検索ブラウザ)
BraveはBrave Softwareが開発したオープンソースのWebブラウザで、今までのブラウザではサイトを閲覧する場合、WebサイトやSNS上に掲載されている広告枠から当たり前のように広告が配信されていました。しかし、Braveでは第三者のcookieをブロックし、デフォルトの状態で広告が非表示にされています。
そのため、ユーザーは不要な広告およびリマーケティング広告を見なくてすみ、広告の読み込みがないためインターネットの読み込みが速くなります。
また、Braveで広告表示を許可した場合、ユーザーから視聴された広告の数によって仮想通貨のBAT(ベーシックアテンショントークン)が支払われます。このように、広告の表示許可を決められるのが今までのブラウザとの大きな違いです。
例えば、Braveのブラウザ上でYouTubeを視聴すると、YouTubeプレミアムに加入していなくても広告が表示されなくなります。ただし、Web3.0でもGoogleやYahoo!は利用可能なため検索エンジンの検索結果には影響がありません。
Steemit(ソーシャルネットワーク)
Steemitはブロックチェーンのデータベース上でおこなわれるブログ・ソーシャルネットワークサービスです。累計利用者数は100万人にも上ります。
SteemitはRedditのようなソーシャルニュースサイトと類似していますが、ブロックチェーンにテキストが保存されます。
ユーザーはSteemit上にあるコメントを発信したユーザーを評価することで、投票します。投票されたユーザーはSteem Dollars(USドルにペグされた仮想通貨。1Steem Dollars=1USドル)を受け取れます。したがって、今までのSNSのように広告収益に頼ることなく、SNS上の記事や投稿を収益化できます。
IPFS(ストレージ)
IPFSはP2Pネットワークを利用したクラウドストレージサービスで、Filecoinという分散型のファイルシステムにより運用されています。
IPFSはGoogle DriveやDropboxのようなファイル共有サービスですが、分散型ネットワークの利点を生かして特定サーバーにリクエストが集中してネットワークが重たくなるのを防止しています。
また、特定のサーバーを所持していないためハッカーの攻撃を受けにくく、安全にデータを保管することができます。
なお、従来のストレージはロケーション指向型(URLにアクセスする)でしたが、IPFSではコンテンツ指向型(コンテンツにアクセスする)を採用しています。ただし、一定期間アクセスしないとデータが消えてしまったり、ノードがファイルを保持してもインセンティブがないなど、いまだ課題も多いのが現状です。
IPFSを利用する時は、仮想通貨FIL(Filecoin)を支払うことで、ネットワーク上にファイルを保存します。Google DriveやDropboxに変わるサービスということもあり、仮想通貨市場でたくさんの注目を集めました。
The Sandbox(ブロックチェーンゲーム)
The Sandboxは、メタバース上でユーザーが交流したり建物やアイテムを作ったりするブロックチェーンゲームで、オープンワールドゲームは、『Minecraft』や『ゴースト・オブ・ツシマ』などがあります。
The Sandboxの特徴は、イーサリアムブロックチェーン上にあり、ユーザーの資産の作成や所有、販売が安全にできることで、NFTにより資産の所有者が識別できるため、ゲーム内のコンテンツの所有権を証明できます。
どれだけプレイしてアイテムを集めても、ゲームに飽きたらセーブデータを削除するだけのものでしたが、The Sandboxで入手したアイテムは換金したり他のゲームに持ち運べたりします。
The Sandboxでは仮想通貨SANDを使ってアイテムやland(土地)が売買される予定で、NFTやメタバースなどの期待を背負った仮想通貨銘柄として2021年には価格が高騰しました。
Web3.0のサービスに触れてみよう
Web3.0は、「データを特定企業に依存せず、不特定多数のユーザーに暗号化した状態で分散させる」ということが言えます。
新たな概念で複雑な技術ですが、Web2.0のサービスと比べるとわかりやすいです。試しにWebブラウザのBraveをダウンロードして数日使ってみるだけでも理解が深まると思います。
ぜひ、Web3.0のサービスを通して、分散によるインターネットの民主化を体験してみましょう。
なお、2021年12月現在、投機もしくは投資目的でWeb3.0について調べている方もいると思います。仮想通貨の場合、DAppsやDeFi銘柄などが代表ですが、そもそもブロックチェーン技術を考えると全てWeb3.0銘柄といえるでしょう。